姿勢がよくならない訳ー音楽家の身体技法

こんにちは。

ステージに上がる音楽家のためのフィジカルセラピスト、新堂浩子です。

noteにフォーカルジストニアの方向けに、音楽家が取り入れやすい身体技法、ヨガ、アレクサンダーテクニーク、フェルデンクライス、野口体操を紹介しています。

今回は、身体技法ってナニ? 音楽家にどういいのか? 上記以外の種類について紹介します。

音楽家が取り入れる身体技法

身体技法とは

身体技法が普通の運動と違う点は、力を出したり角度を求めたりすせず、小さくゆっくり動くことが多いところです。

一般の運動であれば、力や角度を求めたり、タイムを速くしたり、人と競ったりします。

身体技法は、数値的な目標はなく、自分の体の状況や動きに目を向けることが目的です。

運動のようなわかりやすさや即効性がないため、わかりにくい、効果がないように感じる方もいらっしゃいます。

身体技法が音楽家にいい理由

身体技法は、ジストニアでなくても手が痛い人、奏法、姿勢、腰痛などに悩む音楽家におすすめです。

その理由を説明していきますよ。

 

普段の動き、姿勢や歩き、演奏での動きは、脚や指のことを考えなくても動かせます。

日常での動きや身につけた技術は、脳に運動のパターン、動くための神経プログラムがあるので、無意識に自動で動きます。

自動で動けるおかげで、弾きづらい、姿勢が悪い、手や腰が痛くても、同じように動かしてしまいます。

自動で動いていると、脳の神経系は新しい回路を作り出しません。

 

自分の体や動きを意識することで、いつも通りに動いてしまう自動操縦から脱することができます。

脳の神経系は、新しい動きをしたり、新しく聴いたり触ったり感じたりすることで、新しい神経回路を作ります。

つまり、新しい動きを学びます。

この働きを脳の神経可塑性と言い、乳幼児期が一番活発ですが、近年、高齢者でも脳の神経可塑性があって学べることがわかりました。

>演奏の動きのコントロールも参照してね♪

ジストニア向け、神経学的なことはnoteに

もう一つの理由

身体技法をお勧めする理由は、もう一点あります。

瞑想の代わりになります。

 

瞑想しようと、何も考えないでいることは、誰でも難しいものです。

取り組んでは雑念が浮かんできて、「ダメだ、できない」と落ち込んだり、できない自分を批判してしまったりします。

リラックスどころか、辛い修行になってしまいがちです。

 

ヨガや身体技法で、自分の体の中に意識を集中させます。

苦行に何十分も時間を費やすよりは、自分の体に意識を向けることで、集中かつリラックスします。

常に思考している頭を、自分の体、内側に向けることで、瞑想のような効果があります。

動きをコントロールしているのは

姿勢が良くならない訳

例えば、立つ姿勢。

姿勢を良くしようと、頭を起こしたり背中などの筋肉を使って、形を直そうとします。

でも、大人はすぐに元通りになってしまいます。

 

私たちは、自分が意識できるところを良くしようとします。

実は、姿勢には、意識できないコントロールがたくさん働いています。

視覚による情報、体を支えている足底の圧覚、体性感覚、内耳神経の平衡感覚(前庭感覚)など、感覚情報を使って立っています。

 

人が片足立ちをしていて目をつむると、途端にバランスを崩して、立っていられなくなります。

『ボレロ』の出だしでバレエダンサーが真っ暗な中、曲が始まるのを待っていますが、真っ直ぐ立つことが難しいと言います。

バレエダンサーですら、見えないと真っ直ぐ立ちづらい。

 

さらに、腹横筋というインナーマッスル(腹筋よりも深い、お腹の内臓周りにある深層筋)が、人が起きていると背骨に向かって収縮して体幹(胴体)を支えています。

(だから、寝た子や酔っ払ったお父さんは重い)

また、それぞれの感覚や働きが他の感覚や筋肉を助け、相互に影響し合って働いています。

 

このように、立っているだけでも、体の外からの感覚、体内の体性感覚、重力(体の重み)、インナーマッスルなど、意識できない調節機構がたくさん働いています。

姿勢や動きを変えたいとき、意識できる触覚や筋肉よりも、意識できないコントロールの存在を知る必要があります。

もっと詳しく読む >姿勢のコントロール

身体技法いろいろ

骨体操、ゆる体操、操体法

身体技法は、noteに紹介したヨガ、アレクサンダーテクニーク、フェルデンクライス、野口体操以外にも、色々あります。

桐朋学園の矢野龍彦先生による「骨体操」
高岡英夫さんの「ゆる体操」
橋本敬三医師(1897-1993)による「操体法」
小山裕史さんの「初動負荷理論」、など

太極拳をされている音楽家もいらっしゃいます。

『ムジカノーヴァ7月号』に

ピアノ専門誌『ムジカノーヴァ7月号』(毎月20日発売、前号)

特集には「身体にやさしいピアノ奏法」ジストニアから学ぶ効率的な練習法、骨体操、御木本メソッド 。

私の本を紹介して頂きました。(P86、CD&BOOKページ)ありがたや~

本来の目的

どのメソッドを選ぶかは、自分が取り入れやすいもの、やってみたいもので構いません。

大事なことは、身体技法そのものが目的ではなく、演奏しやすくなる、動きや痛みを改善して、演奏技術が向上できることです。

気づかない力みがなく、自分の理想とする音を出しやすくなることです。

 

自分の体内に意識を集中して、リラックスすることが、新しい神経回路を作りやすくします。

手の問題であっても、体、全身から腕や指を使いやすくなったり、体がリラックスすることで、気づかない精神的な負担を軽くしたりできます。

 

本『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』の4章には、その場でできるやり方を載せています。

楽器の椅子でやるストレッチ、姿勢に目を向けたり、楽器でゆっくり動いたり、呼吸改善レッスンや自分でできるトラウマ療法などを載せています。


『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』

 
 

《ミュージシャンボディトレーナー新堂浩子》

ステージに上がる音楽家のためのフィジカルセラピスト

音楽家の不調を根本的に神経系から改善して、心技体トータルで向上していけるよう支援しています。

19年医療に従事したのち音楽家専門パーソナルトレーナーに。

バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。

趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ

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