天才音楽家は努力か才能か?ー天才の練習とは

1万時間の法則と言って、1万時間練習すれば一流の音楽家になれるという報告があります。

イチロー選手は小学生の時に、ほぼ毎日同じバッティングセンターに通い、365日中360日激しい練習をしていました。

エジソンは「天才とは1%のひらめきと99%の努力」と言いました。

そもそもなぜ、そんなに努力や練習ができるのでしょうか?

音楽家は、どう練習したら天才に近づけるのでしょう?

 

1万時間の練習で一流音楽家

心理学者のK・アンダース・エリクソンは、世界的な音楽家になる可能性とその練習時間との関係を調べました。

西ベルリン音楽アカデミーで学ぶバイオリニストを対象に行った調査です。
 
・ソリストになることが期待される最も優れたレベル
・優秀でオーケストラの演奏家になれるレベル
・音楽教師レベル
 
の3グループに分けて、親族に音楽家がいるか、練習時間など様々な調査を行いました。
 
これらのグループ間での違いは、練習してきた累計時間で20歳ごろまでの累積練習時間が最も優れたレベルは1万時間、それ以外は数千時間の差がありました。
 
学生は8歳ごろレッスンを受け始めているので、20才までの12年間で毎日2時間以上を365日したことになります。
 
 
(「一万時間の法則」とは、マルコム・グラッドウェルが著書でこの研究を紹介したものです)
 

努力できる人、できない人

努力できる人と努力できない人は、遺伝の影響を大きく受けているという報告があります。
 
米ミシガン州立大学の調査によると
 
遺伝子が全く同じ一卵性双生児と遺伝子の半分を共有する二卵性双生児を比べたところ、
 
努力できるかできないタイプかは一卵性双生児の方が一致していることがわかりました。
 
 
努力できるのは遺伝の影響が大きく、本人の頑張りよりも脳の違いに寄るところが大きいということです。
 

これらのことから、

 
優れた音楽家は、必要な長時間の練習ができる遺伝子プログラムである
 
努力すること自体が、生まれ持っての才能によるところが大きい
 
と結論づけました。
 
 
トップアスリートや活躍する音楽家は、側から見ると苦しい努力を積んできたように思います。
 
もちろん想像を絶する努力をしているには違いありませんが、努力できない人からするとそんなに苦と思わない努力のようです。
 

努力を続けられる脳ー報酬系

努力できる人は、脳内の報酬系というところが活発に働くそうです。

努力できる人は「これをやったらいいこと(成果やお金)が待っている」ことで、脳内で多くの快楽物質が出ます。

こういう報酬系のおかげで、つまらないことも続ける努力ができます。

 

努力できない人はこの報酬系の働きが弱く、物事の損得勘定を計算してムダな努力はやめようとなります。

報酬を感じる脳で、損得を冷静に考える機能が弱い人が努力できる人となります。

音楽家になっている時点で、努力できる脳、努力できる人です。

 

上達できる練習とは

心理学者のエリクソンに話を戻します。

彼はただ毎日2時間バイオリンを練習しても、それが劇的な上達につながるわけではない、

ただ漫然と行われる練習であるならばそれほどの効果は発揮できないと言っています。

 

最も優れたグループの学生たちは「明確な目標と高い向上心を持って成長するように練習していた」そうです。

彼は目的意識と向上心を持ち、集中的に取り組み努力を重ねていく練習、デリバレートプラクティス(計画的な練習)を薦めています。

 

・明確な目標を揚げそこに到達するよう構成された練習

・弱点を克服するような課題に取り組むこと

・コーチによる定期的なフィードバック

すぐに成果が出るものではなく長期に渡るものであることと言っています。

 

実際、ヨーヨー・マさんや五嶋みどりさんは、練習の最初ゆっくり一音ずつ弾く音階練習に時間を費やします。

18歳で某フュージョンバンドのドラムに抜擢されたドラマーは、 毎日8時間する練習の最初の1時間を、50代のスローテンポでひたすらスネアを叩いてクリックを消していました。

 

日課としている練習でも、集中してやることです。

何の練習が必要なのか、どう練習したら自分の技術を向上させるのか?

でないと、練習しても現状は変わりません。

 

大事なことは基礎的な練習こそ、自分の耳で厳しく聴くことです。

テンポをゆっくりにして一音一音、音が正確か、音程やタイミング、長さを聞きます。

音のつながりをきちんと聞くことで、良くないところを見つけます。

 

音のつながりがスムーズになる動きを、耳で確認します。

基礎的な練習こそ、聴覚と動きを磨きます。

 

音を聞かない練習は音楽の練習ではなく、手などのトレーニングです。

トレーニング的な歌や演奏をすることで、故障につながります。

「彼女に才能は一切無い」

この記事を書いたのはロシアのフィギュアのコーチ、エテリコーチのセリフがきっかけでした。

エテリコーチは多くのオリンピック選手を育て、教え子のザギトワ、メドベージェワは、平昌オリンピックでそれぞれ金、銀メダルでした。

メドベージェワ選手の母親はフィギュア選手だそうです。

 

エテリコーチはインタビューで「メドベージェワは才能は一切無い。

今の彼女は努力の賜物。

彼女は気の遠くなるような努力をしている」 

 
中野信子氏によると、練習すればするほど努力が成果として表れやすいのは楽器、運動、絵画、語学や受験勉強だそうです。
 
身長や足の長さなど身体的な差は努力しても変えられないので、スポーツの世界では努力しても無理なことはあります。
 
これを考えても、体系的に恵まれているとは言えないイチロー選手や錦織圭選手が一流の才能を磨いた努力はすごいです。
 

参照)
”The Role of Deliberate Practice in the Acquisition of Expert Performance”

「あなたの脳のしつけ方」中野信子 青春出版社


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《ミュージシャンボディトレーナー進藤浩子》

誰もが健やかに自分らしく奏で、音楽を通して明るい未来を目指します。 

医療系の大学卒業後長年医療に従事したのち、音楽家に体の指導やケアを行っています。

バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。
趣味は、クラッシックバレエとライブに行くこと♪

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