『才能あるやつはなぜ27歳で死んでしまうのか』

著者は、ロックバンド KISSのベーシスト、ジーン・シモンズ。1949年生まれの75才。

キッスのライセンス商品、権利管理などを担当し、実業家としても有名。

 

Amazonへのリンク→https://amzn.to/452LxLp

絶頂期に27才で早逝したミュージシャンについて、ミュージシャンとして成功した立場から考察する。

本人は酒も麻薬もやらない。良くないことがわかっているし、迷惑を被ってきたから。ミュージシャンのドラッグやアルコールの乱用を批判してきた。

しかし、息子が鬱になったことから、彼らを理解しようと考え始める。

 

ブライアン・ジョーンズ / ジミ・ヘンドリックス / ジャニス・ジョプリン / ジム・モリソン / ジャン=ミシェル・バスキア / カート・コベイン / エイミー・ワインハウス 他

 

一人一人、音楽作品、ステージパフォーマンス、メンバーとの関係、そして、死に至るまでの経過を追う。彼らが生きた社会情勢、文化的背景、家庭環境、人種問題、周りの人の証言などから綿密に探っていく。

神経科学者の専門家のインタビューも。以下は要約になります。

 

「27クラブ」27才での死は偶然で、統計上突出しているわけではない。

彼らはみんな、才能が突出して、頭がよくて、いいヤツだった。

彼らの才能と、ドラッグや鬱を結びつけるのは、全く違う。当時はみんなヘンドリックスと同じドラッグをやっていたのに、誰も彼のようにギターを弾けなかった。

 

60年代末から70年代、ベトナム戦争の時代、若者は体制に反逆し、平和や自由を求めた。「セックス・ドラッグ・ロックンロール」残念な決まり文句がロマンティックにとらえられた。

いったい何がトップというポジションについた人間に暗い道のりをたどらせるのか。

全員がそうなるわけではないし、ほとんどの場合、問題ない。

 

ドラッグに依存してしまった人の状況を理解するのは難しい。

大衆の目にさらされながら生きるクレージーさを、経験のない人に説明するのは難しいのと同じくらい。

ジョン・レノンは、ジャニスが亡くなって言った。「どうして人は、ヤクをやるのか。ぼくらが社会からとんでもないプレッシャーを受けていて。そのせいで、プレッシャーから自分を守らないと暮らせないような状態になっているんじゃないか」

 

コントロールがきかなくなったらどうなるか、みんな知っている。

ロックスターになってしまうと、チェック機構はなくなる。

実際に体験した自分が言うのだ。支配力も影響力もピークにある人間にむかって指図できるヤツなんてどこにいる? 外にいる若者の群れが、ずっとやり続けてくれと要求してるのに。

〜本からはここまで。

 

専門家の話にも書かれていますが、脳の考えるところ、前頭葉は25才くらいまで成熟していきます。

10代や20代前半はまだ脳が未熟で、トラウマにもなりやすい。

孤独を感じやすく、ひどく傷つきやすい。だから、仲間や恋愛を求めるし、感受性が高くていい作品も生まれる。それに、同世代は共感し崇拝してしまう。

 

米国では、10代でドラッグ中毒になったり、貧困から麻薬のディーラーになったりする子供は珍しくないです。

若すぎるうちに人気が出てしまうことは、危険が大きい。人気が出るほどに、精神的に負担が大きくなる。

絶えずマスコミに追われ、タブロイド紙やSNSで誹謗中傷され、依存症や鬱、パニック障害になってしまう。

 

わかりにくいことですが、やめたくてもやめられなくなるのが依存症です。やめようとすると、精神的に不安定になったり、震えがきたり眠れなくなったりなど心身に様々な症状が起きてしまう。

 

27歳でなくても、ドラッグやお酒に溺れて命を落としてしまうのは、本当に痛々しい。

直接の原因でなくても、ドラッグやお酒のせいで立ち直れなくなる人も多い。

チャーリー・パーカー、ビリー・ホリデイ、マーヴィン・ゲイ、ジャコ・パストリアス、マイルス・デイヴィス、ホイットニー・ヒューストン…

 

早すぎる死や鬱などの精神疾患を美化したり、才能をドラッグや錯乱によるものにしてはならない。

ジーン・シモンズは、若いミュージシャンに「自分を大切にしろ」と訴える。

Amazonへのリンク→https://amzn.to/452LxLp