音楽家のジストニア、なぜ指が動かせなくなるの? の続きです。

指が思うように動かせなくなるタイプのジストニアの方には、

学生・アマチュアで症状が出る方と、熟練者・プロで症状が出る方がいらっしゃいます。

指のジストニア

アマチュア、若い方

学生やアマチュア、比較的若くて症状が出る方

20ぐらいの男性が多いです。

1日11時間レッスンするという、ベースの男性(30代初め)もいました。

脳は意図したことではく、繰り返した動きを学びます。

対策には、適切なレッスンを心がける。

未熟なうちは、速い動きよりもゆっくり丁寧に動かす。

熟練者、プロ

熟練者で手のジストニアになられる方は、難解な曲、超絶的なテクニックを必要とする曲を弾かれる方です。

熟練者の指のジストニア改善のために

ジストニアになった方は、レッスン時間が長いことが調査でわかっています。

反復練習を過度にすることは、よくないパターンを脳に組み込んでしまいます。

指の動きをよくしようと動かすほどに、脳は指の動き、巻き込みなどを強化してしまいます。

問題が起きているのは手ではなく脳なので、局所で動きは改善しません。

ここからは、主に熟練者で指のジストニアになられる方向けです。

脳の神経可塑性について

脳は大人でも学ぶ

大人でも脳の細胞は新しくつながり、新たな神経回路を作ることができます。

以前は子供しか脳は成長できないとされていましたが、ここ数十年の研究で、

いくつになっても脳は新たな神経回路を作ることがわかってきました。

脳の神経可塑性と言います。

動きを修正するというより、脳に学ばせます。

感覚、動き

指同士、別々の意図的な動きができるのは、脳が「違い」を読み取れるからです。

神経は新しくつながるためには、感覚、動き、感情、思考、これらが前とは違う必要があります。

今までと異なる過程をしっかり踏んで、新しいパターン、新しい動きを作ります。

脳の再配線は、これまでとは違う感覚の入力によって可能になります

感覚とは、触覚、体性感覚、視覚、聴覚、平衡感覚、味覚で、普段意識しませんが、

見たり聞いたり触れたり、動いていく感覚や平衡感覚を感じているから、人は動けます。

腕や手が動いている感じ、指が鍵盤や底、弦や指板についたり離れたりする感触、音の出具合や、姿勢の状態を味わうことです。

感覚的に違いがわかるようゆっくりとしたペースで動くことで、強制的、反射的な神経を阻止します。

思考、感情

脳が学ぶためには、心の作用は大きいです。

乳幼児が歩き始めたり色んな遊びや言葉を覚えるとき、ころんだり痛い目にあってもすぐ忘れます。

子供が楽器を始める時にも、うまく弾けなくても自分を責めたりしません。

脳で作られるドーパミンなどの神経伝達物質は、感情に左右されることがわかっています。

できなかったことができるようになったり、喜ぶことで脳は神経回路を選び取りやすく、学びやすいです。

気持ちいい、喜び、遊び心、好奇心を持って取り組むことは、脳は動きを学びやすいです

熟練者でなられる方の多くの方が、完璧主義で真面目に熱心にレッスンし、結果を出そうとします。

「完璧に弾けなければ」「自分は難曲が弾けるべき」という過度に強い信念や思い込みがあります。

強迫的な思いで、指を反復させてしまいます。

指が動きにくいと、絶対に動きをよくしなくてはという焦りや、弾けなくなってしまうという恐れからレッスンをしてしまいます。

脳は、限界や失敗、不安、機械的な繰り返しなど、楽しくない経験のパターンを刻み込んでしまいます。

恐れ、ストレス、自己批判、自信のなさ、失敗、脳は学びません。

少しの改善があっても、完璧主義だと「まだ弾けない」と考えてしまい、喜べません。

ジストニアになった方は、心を休めることも必要です。

「演奏の上達、動きの改善を左右する感情」

シューマンの例

音楽家でみられた局所性ジストニアの最初の例は、おそらくピアニストとしてのローベルト・シューマンだろう。

シューマンの日記や友人の残したメモによると、のちに妻となるクララのようなピアニストとしての技量を身につけようとする固い決意に加え、ロマン派の時代に課せられた高い技術要求も重なって、1日の練習時間は7時間にも及んだ。

さらに携帯用の鍵盤まで造らせ、強い自己批判、不安、抑うつなどにより、ついには演奏できなくなり、解決を試みたものの最終的には演奏をやめて作曲家の道を進むことを余儀なくされたと思われる。

ー『Musician’s Dystoniaどうして弾けなくなるの?』音楽之友社 P13

フェルデンクライスー最初の神経可塑性

フェルデンクライスという身体技法があります。

1940年代の時代に、動けない人を動かせるよう指導をしていました。

神経可塑性最初の人と言われています。

クラスの参加者は、動作をした時に何らかの限界を感じても、それに気づくだけで、否定的は判断を下してはならなかった。

また「無理に押し通そう」としたり、矯正しようとすることは戒められた。

その代わりに様々な動作を試し、もっとも滑らかに感じられる動きを発見するよう求められた。

正解/不正解で考えたり、否定的な判断を下したりすることは、心と身体を緊張状態においてしまうため学習の妨げになる。

かくして生徒は、新たな動作を探究し、学習する過程で、神経系と脳を「修理」するのではなく、発達させ再組織化し、

『脳はいかに治癒をもたらすか』ノーマン・ドイジ P277

自分に優しく

指が満足に動かなくても完璧に弾けなくても、自分を受け入れることです。

「満足に弾けない自分はダメだ」「指を動かせない自分には価値がない」など自分を批判をせずに、自分に優しく。

自分に対して肯定的でいましょう。

自分に厳しくせず、自分に思いやりを持ちます。

先のことを不安に思ったり、レッスンできない焦り、弾けない悲しみなど、湧く感情も素直に受け入れます。

強迫感、執着を手放すことで、変化しやすい脳になります。

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音楽家のためのメンタル講座

《ミュージシャンボディトレーナー進藤浩子》

ステージに上がる音楽家のためのパーソナルトレーナー

思うように動かせない、痛みや悩みを抱えている音楽家の方が、

動きを回復して能力を発揮し続けるよう、支援しています。

19年医療に従事したのち音楽家専門のフィジカルセラピストに。

バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。

趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ、英会話

詳しくは プロフィール

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