ピアノやギターの【腱鞘炎】レッスンは? 手術する? 前編

ピアノやギター、ベース、管楽器、打楽器で親指の付け根が痛んだり、指を曲げる時痛い”腱鞘炎”

また、演奏で腕が疲れたり、肘が痛い、いわゆる”テニス肘”になることもあります。

こんにちは。

音楽家のフィジカルセラピスト、新堂浩子です。

 

なぜ、演奏で手や腕を傷めてしまうのでしょうか?

どうしたら傷めず弾けるでしょう。腱鞘炎や肘の痛みの原因と対策について、前編です。

なぜ、演奏で手や肘を痛めるのか?

負担のある動きをしていると、指関節で腱や腱鞘が擦れて炎症を起こしたり、手指を動かす筋肉が入っている腕が疲れます。

手に負担のある動き方をしていても、本人にとっては当たり前の動きなので気づけません。

 

動き方以外の原因として、精神的負担から無意識のうちに力が入るせいで痛めることもあります。

ここでは、動き方による故障に絞って書きます。

ピアノ、ギター、ベース、弦楽器、管楽器で痛める人の特徴

速い演奏が苦手

軽く動くはずの指が、軽く動かせない状況になっています。

 

「小指の力が足らない」と思ってしまう

小指を使いにくい状況での運指になっています。

小指には、人差し指のように小指だけを伸ばす筋肉があります。

力は弱くても、独立して伸びすい指です。

 ≫手の解剖を弾きやすくなるコツ、腱鞘炎対策 ≫指の独立した動き 小指伸筋

 

腕が疲れる

手が動きにくい状態で指の動きを繰り返すと、指を動かす筋肉が入っている腕が疲れます

腕が疲れたり痛む場合、手首の曲がり方がよくない、親指に力を入れるなど、

指へ伸びる腱が、手首で抵抗があり通りにくい状況です。

 

筋肉の指先側の腱や腱鞘がダメージを受けると「腱鞘炎」

手を動かすことで筋肉が痛んだり、肘側の腱、肘の骨に付く部分に炎症を起こすとドラマーのようにが痛みます。筋炎、腱炎、テニス肘になります。

指の筋肉や手首を固定する筋肉が付く前腕や肘に痛み

痛める原因ー負担がかかる手の動き

親指主導

手を使う際、親指主導になっていると手全部が力んで指の独立性が落ちます。

手が力んで手首や腕までかたくなって、手首の柔軟性、腕のスピードが落ちます。

親指、人差し指には、独立して動かす筋肉があり、ペグを巻くような強い力が入りやすいからです。

指を動かしたり腕を素早く動かす演奏時には、この力を発現させないことです。

 

例)

ピアノで黒鍵を親指を伸ばして打鍵。

ギター、ベースでピックをしっかり持つ。

弦楽器のネックの親指に力が入っている。

サックスの親指に力を入れて伸ばしている。

弓、スティックに親指、人差し指の力が入って腕がかたい。

 

力が大きく、楽器から反力

打鍵や押弦の力が強い。スティックや弓、ピックを持つ力が強い。

楽器にかける力が大きく、グッと押さえたり力を入れて持っていたりすると、楽器から受ける反作用も大きくなり、筋肉や腱にダメージとなります。

 

単発で手に力を加えても痛めませんが、繰り返すと筋や腱が炎症を起こし、痛くなります。

楽器に必要以上の力を入れないことで、筋肉が弛緩し、指の関節腔、掌の柔らかにより、楽器からの反力を受けずにすみます。

 

手首が極端に曲がっている

指を動かす腱が手首を通っているので、強く曲げたり反らした状態だと指が動きにくくなります。

 

手首が曲がりすぎている

ギター、ベースのネックで若い女性に多く見ます。

指が伸びて四指が開いた状態からバタバタ運指になる。

 

トランペットやサックスなど管楽器でも、脇を閉めたり右手首が曲がっていると、指がパーっと伸びた状態でキーを押します。

 

巻き肩

猫背で左肩が胴体の前に出て、肩から上腕がねじれて、腕と手の骨格がねじれます。

ギター、バイオリンで押弦の指がピンと伸びたりギュッと丸まる動きになります。

>バイオリンなど弦楽器を弾きやすい姿勢、手

慢性的な尺側偏位 

上記の状態で手を使っている人は、脱力した状態で手が手首のところで慢性的に小指側に曲がり気味、四指が伸び気味になってしまいます。

通常な場合の手は脱力した状態で、前腕から小指にかけての線がまっすぐです。

通常↓
手首のところで小指側が真直ぐ、親指側が凹む

尺側扁位↓
手首のところで小指側へ曲がっている

 

こんな練習は痛めやすい

・指のトレーニング的な練習

ひたすら速く弾くような指のトレーニング的な練習。

速く弾こう、難しいものを頑張って弾こうと力が入りがちです。

 

・指導によるもの

最初のピアノの先生に「手首を動かさないように」と言われたり、

ギターの先生に「左の上腕を体につけたまま」と言われた例を聞きます。

身体的によくない指導があるのも事実です。

 

・手を強くストレッチする

腱鞘炎で手首、指を引っ張ってストレッチすることが勧められていますが、おすすめめしません。

指や手首で筋肉、腱を必要以上に引き伸ばしてしまい、脱力して手を使うことになります。

これはアレクサンダー・テクニーク系の本にも書かれています。

多くのピアニストが、指をストレッチするエクササイズをして、かえって手を痛めてしまっています。

「指のストレッチ」と考えている動きこそが、筋肉を緊張させえ故障に至る危険をはらむものだからです。

 『ピアニストなら誰でも知っておきたい「体」のこと』春秋社P.112

ただし、クラッシックのピアニストで、本番前にわざと力が入らないようストレッチする人がいらっしゃいます。

自分で目的や加減がわかってやる以外は、必要以上に筋肉を伸ばさない。


『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』

 

《ステージに上がる音楽家のためのフィジカルセラピスト、新堂浩子》

音楽家の不調を根本的に神経系から改善して、心技体トータルで向上していけるよう支援しています。

19年医療に従事したのち音楽家専門パーソナルトレーナーに。

バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。

趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ

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