ステージ恐怖症の対策ー自分が自分の一番の味方になる

前回前々回と、ステージフライトの症状とその理由をみてきました。

恐怖で思考が混乱する…

本番で手が動かない…

また音が出せなくなりそう…

ステージフライトは、どうしたらいいのでしょう?

ステージフライトにメンタルトレーニングは効くか?

メンタルリハーサルは効かない

なぜなら、ステージフライトで自覚する症状は、脳の奥から表面に出たものにしか過ぎないからです。

自律神経のコントロールのうち「凍りつき」は、生命の危険の脅威に対する生存本能的な反応です。

「生命の危険から逃げろ」という命令で、舞台で演奏すること、脳が思考することをストップさせます。

 

無意識に蓄積したストレスや冷凍保存した出来事が元になっているため、意識的なコントロールが体や思考に全く及びません。

つまり、自覚ができない心理的なものは、意識的な方法が効きません。

 

認知行動的な方法、メンタルリハーサル、アフェメーション、リラクゼーション法、集中法など意識的な方法では、無自覚の恐怖からくる反応に対処できません。

一時的によくなりはしても、自己保存のための深い部分と闘うことで、ストレスを増してしまいます。

 

音楽家の場合、きっかけとなる出来事やトラウマそのものが原因ではなく、

多くは精神的な負担が脳の中に蓄積されていって、ステージ後や何年か経ってから起きます。

 

数日後か何年か後でも、驚異的な体験を思い出させる状況、照明、感情、動き、音などから感覚的な不安、混乱した体験が無意識に活性化されます。

 

がんばると逆効果 

ステージフライトは、体や思考において意識的なコントロールが及ばず、技術的にできることができません。

音楽家であるがゆえに恥じ、ショックを受け精神的にさらにダメージを重ねます。

 

そして、子供の頃から練習をがんばって成し遂げてきた故に、真面目に練習に取り組んだり、精神的に頑張ろうとします。

がんばるほどにステージフライトは繰り返し、落胆し自分を責めたり苛立ちを募らせ、循環的に悪化します。

 

セルフトークは逆効果

「また失敗する」「逃げた方がまし」「自分には無理」「やってはいけない」などのネガティブな声、考え。

恐れの声、逃げようとする自分の思考に脅えます。

 

ネガティブな声、考えは、無意識レベルでの恐怖から、生存のために湧き出るものです。

意識的に自分を鼓舞しようとするセルフトークは、かき消され役立ちません。

ポジティブトーク、アフェメーションを一生懸命行って一時的には効果があっても、やがては戻ってしまいます。

 

言い換えれば、道路に立って向かって来る車に向かって「私は大丈夫」と唱えても意味はありません。

本能的に逃げます。

ネガティブな声は、恐怖から自分を守ろうとするゆえであることを理解しましょう。

実際に自分にある恐怖に立ち向かわない。

ステージフライトの改善方法

解決する方法は、自分自身の中にあります。

自分の内から

自分の本能と闘ってはいけないです。

ストレスが自分の外、観客や状況にあるのではなく、自分の内面が癒されることが必要です。

自分が安心すること。そのために自分自身に対して優しくあること。

 

がんばらなくていいです。

ステージで上手くできなかった自分を恥じたり批判しない。

自分に向けた批判、落胆はさらにあなたを停滞させます。

 

ミスをした自分をいたわりましょう。

自分を受け容れる、自己受容とは、自分を批判せず自分に共感してあげることです。

 

失敗して落ち込んでいる親友に対して、何と声をかけますか?

同じことを自分に言ってあげてください。

 

完璧主義だと自分を攻撃してしまいます。

自己と闘わず、自分を安心させてあげてください。

自分自身に対してサポートをし、自分の内面に安全な状況を作ります。

 

例え、ステージフライト、うつや病気であっても、恥ずかしいことではありません。

自分を責めたり、頑張らなくてはいけないと考えなくていいです。

心理的に大きな負担がある、傷みがある自分、自分が一番自分を思いやって大事にすること。

 

そのままの自分をまるごと受け入れて、そして、もっと自分を大切にします。

自分を慈しむこと。自分が自分の一番の味方になってください。

note▶音楽家のリラックス法、追記

最後に

ステージフライトであっても、音楽的な能力、人としての価値に変わりはありません。

以下はステージフライトに悩まされたか、今悩まされている方々です。

 

Adele, Barbra Streisand, Bob Dylan, Britney Spears,

Carly Simon, Carrie Underwood, David Bowie,

Jimi Hendrix, Martha Argerich

 

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本『演奏不安・ジストニアよ、さようなら:音楽家のための神経学』
2022年3月発売 春秋社のページ 

《ミュージシャンボディトレーナー進藤浩子》

ステージに上がる音楽家のためのフィジカルセラピスト

音楽家の不調を根本的に神経系から改善して、心技体トータルで向上してより高いステージで揮けるよう支援しています。

19年医療に従事したのち音楽家専門パーソナルトレーナーに。

バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。

趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ、英会話

詳しくは プロフィール

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