あがりを克服できないステージ恐怖症ー音楽家のためのメンタル2

「また、ソロで演奏がミスしたらどうしよう。本番前怖くて体がかたまってしまう。」

「集中できず頭が真っ白、逃げだしたいほどの恐怖

「高音でミスしてしまってから、本番でその音域が出せない…」

「人前に出ると手が震えてしまい、全く演奏できなくなってしまう。もう演奏やめたい。」

こんにちは。

ステージに上がる音楽家のためのパーソナルトレーナー、進藤浩子です。

ベテランなのに、体がかたくなったり恐怖心や頭が混乱してしまうステージ恐怖症。

歌や演奏が好きで実力があるのに、人前に出ると実力が発揮できなくて辛い思いをします。

呼吸法、イメージリハーサルなどあがり対策が効かないステージ恐怖症は、普通のあがりとどう違うのでしょうか。

闘争・逃走と凍りつき

あがり

人前で歌ったり演奏することは緊張します。

人目に晒されて何かをするときには誰でもあがります。

 

動物は緊張すると、闘う逃げるに備えて反応します。

交感神経系の働きで、心拍は増加、筋肉はかたくなって呼吸は速くなります。

 

あがりながらも人前に出る回数を重ねることで、徐々に慣れていきます。(脱感作)

稀に、そんなにあがらない人もいます。

自分でも気づかないうちに人前に出ることに慣れたり、脱感作できたせいと考えられています。

 

こおりつき、フリーズ

もし、闘うか逃げるかできなければ、動物は凍りつきます。

捕らわれて食べれれそうな時は、かたまります。

 

これは肉食動物は、死んでいる動物を食べたがらないので仮死状態になる、

万が一食べられても、苦しまなくて済むような本能的な反応です。

 

人間の場合、命の脅威のような場面に置かれると、体はかたまって思考は混乱します。

この反応は不随意で本能的なもので、意識的なコントロールはできません。

 

命の脅威の敵が去ってしまうと動物なら、元に戻って生活できます。

でも、頭が発達した人間は違います。

 

ステージ恐怖症の正体

積み重なった傷

動物と違って人間の場合、脅やかされる体験、トラウマチックな体験を冷凍保存します。

脅威的な命を頭で処理できず、体や精神的な大きな痛みを未処理のまま閉じ込めてしまいます。

 

ステージ恐怖症は、普通のあがりとは違って、凍りつき反応の蓄積からくる反応です。

きっかけとなる出来事やトラウマそのものが原因ではなく、脳神経系に閉じ込められてきた傷の蓄積から起こされます。

 

ネガティブな記憶は、視覚、聴覚や苦痛の身体感覚を含めて、感情とともに冷凍保存されます。

思い出させるようなシーンや照明、音、動作や感情などによって、脳に冷凍保存されている出来事から以前感じたのと同じ不安感、恐怖を再現します。

 

怖さが大きいほど、意識的になり過度の思考によって、身についている演奏の自動的な動きはできなくなります。

 

個人の心と体の痛み

本人にとって、身体的、精神的に極度の負担となるような体験はトラウマになります。

子供時代の虐待、いじめなどに限らず、

・身内の死や親の離婚
・事故に遭ったり目撃した経験
・乳幼児、子供の時の怪我、病院での出来事
・自然災害
・大きな怪我や痛み、手術
・故障による恐怖とパニック状態
・演奏できない自分のアイデンティティの崩れ
・失敗や故障に理解を示さない親、指導者
・屈辱的な批評

覚えていないということも、トラウマの症状です。

自分ではトラウマを自覚しないため、身体や感情を意識的にコントロールすることができなくなります。

もっと詳しく≫ステージ恐怖症、神経の傷み-閉じ込められた傷」

 

メンタルトレーニングの効果は

あがり対策のメンタルトレーニングやスポーツ向けの心理学は、意識的な部分や表面的な身体を操作することに焦点を当てます。

ステージ恐怖症の場合、意識的な方法は根本的な解決にならなず、時にはかたまるのを強めてしまいます。

脳や身体が持つ、自らを癒す能力から遠ざけるからです。

 

恐怖が自分の内側からの声だから、それを押さえ込もうとするよりも、存在を理解すること。

自分の内と闘ってはいけないのです。

 

自分に厳しくしないで

できない自分を責めない、自分に厳しくしないでください。

人は演奏する機械ではありません。

ミスもすれば怪我や病気もします。

 

大切なことは、傷を癒すこと。

頑張らないで、自分を批判しないで完璧を求めないで、自己受容すること。

自分に優しくすること、内なる回復力です。

 

あとがき

私がPTSDを発症したことについては「ステージのあがり、恐怖を克服する、原因編」に書きました。

もともとあがり症もありましたし、怪我をして動けなくなって生きている価値がないとアイデンティティがなくなったこともありました。

 

スポーツにおいて競争、プレッシャー、ケガから、恐怖で同じ技ができなくなったり、単純な動きができずイップスになったり、そして深層にあるトラウマを改善することでよくなっていることを知りました。

 

歌や演奏が好きなのに、ステージ恐怖症に悩む音楽家の方にお役に立てたらと思います。

具体的な対処については、回復力について、また書いていきます。

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『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』

 

《ミュージシャンボディトレーナー新堂浩子》

ステージに上がる音楽家のためのフィジカルセラピスト

音楽家の不調を根本的に神経系から改善して、心技体トータルで向上していけるよう支援しています。

19年医療に従事したのち音楽家専門パーソナルトレーナーに。

バイオリン、ピアノ、トランペット、アコギ歴。

趣味は、大人から始めたクラッシックバレエ

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